2023/11/19

「パルコを広告する」 1969 - 2023 PARCO広告展 おもしろかったから覚えてるうちに軽メモ 80年代の広告がものすごく異質で印象に残った。己の解釈を問う「知のゲーム」として洗練された時代らしい。80年代だけが男性ターゲットのようで、昭和のサラリーマン的なかっこいい男の世界観を提示しつついろいろな解釈の余地をもたせる難解なコピーとビジュアルで、「広告」がこんなに自由であることはもうないだろうなと思った。70年代は女性が自分のためにモノを買ってオシャレをする楽しみを提示していてそれも当時は事件だったとあったけど、80年代で大きく方向転換されたのはやっぱり十分な経済力があって自分のために自由にお金を使える女性消費者のパイが少なかったということなのかな。90年代、00年代と時が進むにつれてどんどん文字量が多くなる。「SPECIAL IN YOU.」以降は特に解釈の余地を与えない、誰にとってもそう受け取れるような明確なメッセージが書かれてる。そうでないと伝わらない時代であり、伝わらない広告は悪い広告であるという価値観。わかりにくい広告はまずありえず、漠然とした憧れを抱かせるようなものはむしろ大衆からは敬遠されるような時代。歴代CMを一気に見れるのもおもしろかった。00年代以降映画「少年メリケンサック」や「デトロイト・メタル・シティ」みたいな作品とのタイアップCMが作られるようになって、それまでみたいな海外ロケと比べると明らかに予算が少なそうで寂しい。しかもはっきりと私の記憶にあるパルコのCMはその辺りからだ。(静岡にパルコができたのは2007年)。そこへの言及はなかったけど、パルコアラの登場はそれまでの「親しみのない」かっこよさや憧れから「親しみやすさ」で大衆を惹きつけるように転換させる決定打だったと思う。2007-2010年の3年間で静岡、浦和、仙台、福岡と続々と地方に建てられたことがかなり関係していそう。当たり前だけど消費の目的や動機は時代によって全然異なるということが、超一流のかっこいいビジュアルで見渡せるとても楽しい展示。MILKFED.はソフィア・コッポラが映画を撮り始める前に立ち上げたブランドということも全く知らなかった。関係ないが「ロスト・イン・トランスレーション」的なノリをハイハイと思いつつ憧れから逃れられないのは悔しい。今回の企画展、今20代の人はきっと当時への憧れや羨ましさでいっぱいになると思う。20年代でそれに匹敵するようなものってなんだろう。あといつからイケてるもの≒金にならないものになったんだろうか。そもそもTwitterのオシャレで人気な人はパルコじゃなくてみんな新宿伊勢丹で買い物してる。今日は日曜でルミネはめちゃ混みなのにパルコは空いてるというのも切なく、実際自分が物を買ったのもルミネだった。